胃術後の食事療法のポイント
手術後から100日目までの食事
退院(1日目)~2週間まで
							食べられなければ無理のない食事量を
							食べられないときは、栄養剤を上手に利用しましょう
						
2週間~1か月目まで
							普通に食べられることを実感、1日5から6回に分けて食べましょう
							分割食の上手な取り入れ方
							1回に食べられる量に合わせて、回数を調整しましょう
						
 
						1か月目を過ぎたら
食事量の増加と、腸閉そくや下痢など、規則正しい生活と排便を心がけて
 
						1か月半を過ぎたら
食べる量から【内容】に注目して、栄養素不足を予防
不足しがちな栄養素
- ビタミンD・・魚、きのこ類など
- カルシウム・・乳製品、豆製品など
- 鉄・・肉・魚・・卵など
- ビタミンB12・・レバーなど
- 亜鉛・・うなぎや赤身肉
脂の少ない食材を、よく噛んで、ゆっくり食べましょう
2か月目を過ぎたら
タンパク質をきちんと取り、筋肉量や骨量の低下を予防、運動も行いましょう
3か月目を過ぎたら
徐々に食事量を増やし、目標体重に近づくようにしましょう
							目標体重(㎏)=(身長m)²×22
							で計算してみましょう。
							体重減少しても焦らず少しずつ食べる量を増やしましょう。
						
胃全摘・幽門側切除・噴門側切除に共通するポイント
ゆっくり良く噛んで食べましょう
							口の中で食べ物を細かくし、唾液と十分に混ざることで消化しやすくなります。
							繊維のある食べ物には注意して摂取しましょう。
						
頻回食にしましょう
							1回に食べられる量が少なくなるため、1日4~6回に分けて食べましょう。
							朝・昼・夕の他に10時・15時など時間を決めて摂取するようにしましょう。
						
少量で栄養のあるものを摂取するようにしましょう
							ご飯やパン、野菜を煮たものでは十分な栄養を摂ることはできません。
							体力の回復のためにも魚、肉、大豆製品、卵、乳製品などのタンパク源を毎食欠かさずに摂取するようにしましょう。
						
水分の摂取も忘れないようにしましょう
							食事前に水分をたくさん摂取すると食事の摂取量が減ってしまう可能性があります。
							水分は食事と食事の間にこまめに摂取するようにしましょう。
						
食べる量に注意し、調理方法を工夫しましょう
							キノコ、海藻、こんにゃくなど食物繊維が多く含まれているものは食べる量には注意しましょう。
							ごぼうなどの繊維が固くて長い野菜はささがきに切ることで繊維を断ち切ることができます。切り方も工夫しましょう。
						
普段と変わらない食生活を
							手術をしたからといって食べていけないものはありません。
							食べられる量は少なめですが家族とは別の食事を用意する必要もありません。
						
体重減少予防に栄養補助食品を上手に利用しましょう
							胃の術後の体重減少は避けられません。胃全摘術で手術前の15~20%減少、幽門側切除術でも7~10%の体重減少が起こるといわれています。
							食事摂取が進まない際には少量で高カロリーの栄養補助食品を取り入れましょう。
						
消化に良いもの悪いもの
※食べてはいけない食品はありませんが、下記の表の消化の悪い食品の摂りすぎには注意しましょう。
| 種類 | 消化の良い食品 | 消化の悪い食品 | 
|---|---|---|
| 穀類 | 米飯、粥、 うどん、ソーメン、 マカロニ、食パン等 | 玄米、雑穀、赤飯、すし、 ラーメン | 
| 芋類 | じゃがいも、里芋、長芋 | 焼き芋 | 
| 菓子類 | アイスクリーム、ゼリー、 カステラ、ウエハース、 塩せんべい、プリン等 | 餡菓子、揚げ菓子、 チョコレート、パイ等、 ポテトチップス | 
| 油脂類 | 乳化したもの、 バター、マーガリン、 マヨネーズ等 | ドレッシング、 植物油、 ナッツ類(くるみ、ピーナッツ、アーモンド等) | 
| 肉 | 脂肪の少ない豚肉・ 牛肉:赤身(ひれ、もも)、 鶏肉(皮なし):むね、ささみ、もも | 脂肪の多い肉:ばら肉、霜降り肉、 ベーコン、ハム、ソーセージ、 トンカツ、唐揚げ等 | 
| 魚 | 脂肪の少ない魚: 白身魚(カレイ、スズキ、ひらめ、鯛など) 鮭、 牡蠣、 はんぺん、かまぼこ、 しらす干し | 脂肪の多い魚:鰻、トロ、筋子、ぶり等 甲殻類(イカ、タコ等) 貝類、 油漬魚缶詰、佃煮、塩辛、 てんぷら、フライ | 
| 卵 | 卵 | |
| 大豆製品 | 豆腐、納豆、高野豆腐、湯葉、 軟らかく煮た豆類 | 枝豆 | 
| 乳類 | ヨーグルト、牛乳、 チーズ | |
| 果実類 | 桃,洋ナシ、バナナ、 リンゴ、熟した柿、 コンポート、缶詰のフルーツ等 | 柿、 繊維、種の多い生の果物、 ドライフルーツ | 
| 野菜類 | ほうれん草、小松菜、ブロッコリー、人参、 かぼちゃ(皮なし)等、 キャベツ、白菜、大根、かぶ、なす、 カリフラワー、玉ねぎ等 | 生野菜、 繊維の多い野菜: (筍、レンコン、とうもろこし、山菜等)、 強い香辛野菜(にら、春菊等)、 漬物、こんにゃく、糸こんにゃく、 きのこ類 | 
| 海藻 | 昆布、わかめ等 | |
| 飲み物 | 番茶、麦茶、 薄い紅茶、薄いココア、薄いコーヒー、 スポーツドリンクなど | 炭酸飲料(コーラ、サイダー)、 ビール等 | 
| 調味料 | 味噌、しょうゆ、砂糖、みりん、塩 | 香辛料 | 
胃術後トラブル予防の8か条
胃の手術後のトラブル予防に 
-覚えておきたい8か条-
- 
									胃が『ない』ことを自覚しましょう。 
- 
									胃は『第2の脳』としての司令塔です。 
- 
									口を胃の代役に使って、よくかみ砕いてから飲み込みましょう。 
- 
									『よく噛んで』『ゆっくり食べる』ことはリハビリの基本です。 
- 
									腸は胃の代役にはなりません。負担の少ない食材を選びましょう。 
- 
									消化・吸収には消化酵素が不可欠です。 
- 
									運動・筋トレで体力の低下を予防しましょう。 
- 
									快便・快食・快眠を目指しましょう。 
 
			