術後の食事の注意点 ~退院後1か月を目安に~

大腸がんの術後の体はまだ回復途中であり、消化器官にも負担がかかります。
下記のような食事を心がけましょう。

大腸がん術後の食事療法のポイント

一度にたくさん食べない

食べ過ぎると、下痢や腸閉塞の原因につながります。腹八分目を心がけましょう。
ゆっくりよく噛んで食べることで、消化吸収を助けます。

  • 一度にたくさん食べないイメージ

消化にやさしい食事

手術後の腸は敏感になっているため、やわらかく煮込んだ料理や水分が多いものを選びましょう。
油や香辛料が多い食事は腸に負担がかかるため、しばらく控えましょう。
野菜は皮をむきましょう。

  • 野菜の皮むきイメージ

低脂肪・低残渣(ていざんさ)食

「残渣」とは腸に残る繊維のことです。消化に負担をかける繊維が多い食品は控えましょう。
脂の多い食事は下痢の原因となります。

控えた方が良い食品
穀類 玄米、赤飯、玄米パン、胚芽入りパン、ラーメン
イモ・こんにゃく類 さつま芋、こんにゃく、しらたき
肉類・魚介類 脂肪の多い肉(バラ肉、ベーコン)、貝類、いか、たこ、干物
大豆、豆類 大豆、枝豆
卵・乳・乳製品 制限はほとんどなし
食物繊維の多い野菜・海藻類 食物繊維の多い野菜、ごぼう、筍、れんこん、ふき、わらび、長ねぎ、きのこ類、かたい漬物、昆布、わかめ、ひじき
果物類 繊維の多い果物、パイナップル、ドライフルーツ、酸味の強い柑橘類
調味料・香辛料 ラード、ヘッド、香辛料
飲料 炭酸飲料、アルコール
お菓子類 揚げ菓子、豆菓子、辛いせんべい、(▲粒あんの和菓子)

水分をしっかり接種

術後は脱水しやすくなるため、こまめに水分摂取をすることが大切です。冷たすぎるものや炭酸は控えましょう。
白湯・常温の水、麦茶・薄めたスポーツドリンク、経口補水液(OS-1など)がおすすめです。

  • 白湯をコップに注ぐイメージ

健康な腸を保つために

プロバイオティクス

乳酸菌やビフィズス菌は腸の中で短鎖脂肪酸を産生します。腸の動きをよくしたり、栄養吸収の効果もアップします。

  • 便通改善作用
  • 腸内環境改善作用
  • 免疫調整作用
  • 発がんリスク低減作用
  • 感染防御作用
  • 腸内細菌叢のバランス改善作用
  • ヨーグルト

便通が変化したときは?

1.便秘・おなら・腹部が張る

  • 食事時間を規則正しく、特に朝食が大切です。
  • 水分を十分にとりましょう。
  • 野菜、果物など食物繊維をとりましょう。(消化の悪いものに注意、一回の摂取量に注意してください)
  • 規則正しい排便の習慣をつけましょう。
  • プロバイオティクスなどを取り入れましょう。
  • 適量の脂肪を取り入れましょう。

排便が3日以上ないとき、下剤を使っても1~2日以内に便が出ないとき、腹痛や吐き気などの症状があるときは、担当医や看護師に相談しましょう。

2.下痢

  • 消化の良い食品にする。
  • 1回の食事量を減らし、分割食にし消化管の負担を軽くしましょう。
  • 脂肪・繊維の多いもの・刺激物・腸内で発酵するものを控えましょう。
  • 冷たすぎるものに注意しましょう。(牛乳、カフェインやアルコール飲料)

3.頻便

  • 食事時間を規則正しくし、生活のリズムを整えましょう。

人工肛門(ストマ)造設術後の食事は・・・

排便を上手に行えるようなコントロールが必要です。適度に水分を摂取し、脱水や電解質バランスの崩れがないように注意することが大切です。
野菜は、皮をむく・刻む・柔らかく煮るなど調理を工夫しましょう。わかめ・ごぼう・昆布・こんにゃく・たけのこなどは、工夫してもなかなか消化しづらいので控えます。
食品によっては排泄物の臭いやガスの量に影響があるので、下記の食品の摂り過ぎには要注意です。

便の臭いを強くする
可能性のある食品
ねぎ類、にんにく、豆類、アルコール類、香辛料など
ガスが発生しやすくなる
可能性のある食品
炭酸飲料、ビール、さつまいも、豆類、ごぼう、やまいもなど
ガスの臭いを抑える
可能性のある食品
パセリ、レモン、ヨーグルトなど
回腸ストマの場合は
排泄部位が傷む場合がある
刺激物(唐辛子、タバスコなど)

食事のリズムと注意点

  • 1日3回規則正しく、体調を見ながら少量ずつ分けることで消化器への負担を軽減しましょう。

  • よく噛む。1口30回を目安によく噛むことで胃腸の働きをサポートします。

  • 水分補給は一気に飲まず、こまめに摂取。冷たすぎる飲み物は避けましょう。